先日のエントリ(「小さい水槽ほど管理は大変なのになぁ」)の関連で見つけたコネタからまた一つ。
リンク: 風流で美しい、「水中生け花」の世界 | エキサイトニュース.
ガラスのなかで涼しげに漂う水草と魚たち——見ているだけで癒される新感覚のインテリア、「グラスリウム」をご存知ですか?
さっそく販売元サイト(KOYO生科学研究所HP)を見たところ、グラスリウムとは、熱帯魚飼育セット一式と考えていい商品なんですけれど、水までついているのがミソ。このバイオーターという特殊な水のおかげで濾過器やエアーポンプなしで熱帯魚が飼えるというのがウリな訳です。
…が、
そのバイオーターの説明がすんごいんですよ。どこからツッコんだらいいか分からないくらい(笑)
「蘇生状態菌」とか「崩壊菌」というのもよくわからないんですが、
バイオーターの蘇生状態菌はこの崩壊菌を蘇生状態菌に変える力があります。
と言われた日にゃ、どうすればいいんですかね。
私は、「マトリックス」のエージェント・スミスを連想してしまったんですが(笑)
蘇生状態菌でできているバイオーターは蒸発すると、周りの空気を浄化してくれる働きもします。
グラスリウムを置くだけで、何となく気持ちがいいのは「気のせい」じゃなくて、本当に科学的に良い「気」にしてくれるからなのです。
…「気のせい」だと思います。
つうか、アクアリウムを見てイライラするという人も、あまりいないと思いますが。
「研究の歩み」というページもなかなか味わい深いです。
特に「水が変われば社会が変わる」という文章では、「水からの伝言」の影響を強く感じさせてもらえます(笑)
例えば、こんな風に。
水は周りの情報(波動)を理解して一瞬で変化するだけでなく、良くなろうという意志を持つ、地上で一番賢い物質だからです。悪くなった水も、いい情報(波動)を送ることですばやく変化します。水が良くなれば波動の共鳴関係によって世の中も良くなっていくのです。
うひゃぁ。
そんな恐れ多い水を、人間ごときが気軽に飲んでいいのか心配になりますよ〜(笑)
しかしですね、説明文の破壊力に比べて、グラスリウム自体は割と普通の商品という印象を持ちました。
値段はともかく。
おそらくバイオーターはアンモニアを分解するバクテリアが含まれた水でしょう。
魚もアカヒレやプラティなど比較的丈夫で飼いやすい種類ばかりです。飼育数を控えて、餌のやり方や水温に気をつければ濾過器がなくても飼育できると思います。
関連商品を見てみると、専用ヒーターや(たぶん)メチレンブルーを主成分とする薬品、水草用のCO2や肥料、アオコ抑制剤など「特殊な水」を使っている割には普通の熱帯魚飼育用品がならんでいます。
で、ここからは想像なんですけれど、この会社、トンデモな説明文の数々は確信的にやっているんじゃないですかねぇ。
というのも、「研究の歩み」というページにこんな文章を見つけたんですよ。
水と微生物の研究をして20年。バイオーターを見つめてきてわかったこと・グラスリウムに教えられたことは、意外にも「日本語のすごさと日本文化の素晴らしさ」でした。「『発明』とは、言葉の発見である。」と常々三浦所長はおっしゃっています。
「目に見えないものを表現する」言葉を多くもつ日本語で考え続けてきたからこそ、バイオーターは生まれたのだと。
つまり…。
普通の熱帯魚飼育用品も、ヨタ話ちょいと神秘っぽくて、ちょいと科学っぽい話をくっつけたら予想以上に売れちゃった、ってことじゃないんですかね。
バイオーターのウリである「蘇生状態菌」が、そもそも(当研究所命名)らしいですし。
http://www.koyo-seiken.com/shop/goods/index.html
キャッチコピーを工夫しただけって言うことでしょうかね。
◆追記 (2011.8.4)◆
未だに「バイオーター」というキーワードで検索してくる方がいるので、念のため追記しておきますが、現在のKOYO生科学研究所のHPには、ここで引用したようなトンデモな表現はありません。ごく普通の熱帯魚飼育用品販売サイトです。
おそらく、国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の実験水槽に採用されたことで営業に箔が付き、おかしな神秘性をウリにする必要がなくなったのでしょう。
普通になってしまって残念な気もしますが(笑)、まあ、波動だのなんだのというヨタ話がなくなったのは喜ばしいことではありましょう。
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